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「悪女」は本当に「ワルい女」か? 


作家・有吉佐和子さんのご著書のひとつに、『悪女について』(新潮文庫)という小説があります。2年ほど前、沢尻エリカさん主演でドラマ化されていますので、ご存じの方も多いと思います。


ご存じない方のために小説のさわりの部分だけご紹介すると、亡くなったある1人の女性に関わった27人が、彼女について語る形式で書かれています。

あまりに波乱万丈な生涯ゆえ、なかなかマネできるものではないですが、自分の持つあらゆる能力や魅力を生かしつつ、世の中を生き抜いていくという点では、考えさせられるところの多い、読み応えのある内容です。

読みながら27人の相関図を書いていかないと、いつどの時期に、誰が彼女とどんな形で関わったのかわからなくなるほど、色々とからみあっているのですが、私が1番興味深かったのは、彼女に対する評価がしばし真逆であるところです。

ある人が「彼女ほど優しくて気持ちのキレイな女性は見たことがない」と語れば、ある人は「あの女に騙された! あんな性悪女は見たことがない」と怒っていて、ほんとに同一人物に対して語っているのかと思うほどです。

果たして彼女は本当に「悪女」だったのか? 行動ひとつひとつを見れば、「善いこと」ばかりでないことは確かです。しかしその一方、彼女のことを愛し、魅了されている人が多くいるのも事実なのです。

私は、彼女は「自分が欲しいものは貪欲に追い求め、必要としないものはバッサリ切り捨てる」、一種のいさぎよさがあったのだと思います。彼女のことを悪く言う人たちは、彼女の「欲しくないもの、必要ではないもの」だったのでしょう。

人間、できれば人に嫌われずに生きたいと思うものですが、こと恋愛においては「みんなにいい人」であろうとすると、チャンスを逃してしまうことがあります。

先日、婚活の悩みを相談されたのですが、「自分でも“いいな”と思っていた相手から、来週にでも直接会いませんかとメールが来たが、来週はすべて予定が入っていたので、再来週ではどうですかと返信した、らそれきりになった」という内容でした。

先約は優先すべきものだから、来週は無理だけど再来週はどうか? と提案したのに…と憤る彼女。人とのお付き合いルールとしては確かにその通りです。そかしその男性は、「再来週で」と言われた段階で、「あ、自分の優先順位は低いな」と判断し、他の女性に目を向けてしまったと思われます。

まあ、そこまでの男性だったといえばそれもそうですが、もし本気で恋愛したいのなら、チャンスには貪欲になるべき。こういった場合は、ウソをついて来週のアポを何かキャンセルしてでも会った方がよかったのではないかと思います。

また別の相談では、「合コンで気になった男性がいたが、同席していたA子から先に”私○○さんが気に入った”と言われ、つい彼に話しかけるのをためらってしまった。」

「しかし後日、A子から”B子がちゃっかり彼の連絡先を聞いてアプローチしていて、今付き合っている。私が先に彼に目をつけていたのに、B子はイヤな女だ”と悪口を聞かされ、驚くと同時に、自分が悪口を言われる存在にならなくてよかった…と思ってしまった」という内容もありました。

確かに彼女はA子さんに配慮したため、悪口を言われる存在にはなっていませんが、結局のところ彼もできていません。

上に挙げたお2人はルックス、性格ともに申し分ない素敵な女性なのですが、すべての人にいい人であろうとしてしまうところが、恋愛から遠ざかるひとつの原因なのかなと思ってしまいます。お釈迦様は「人間、話してもそしられ、黙っていてもそしられ、およそこの世でそしられぬ者はいない」とおっしゃったそうです。

であれば、恋愛において「正しいこと」が必ずしも結果に結びつかないことが多いことを考えると、時には批判を受けたとしても、ウソも涙もワガママも駆使して自分が1番欲しいものを手に入れるための「ズルさ」「悪どさ」があってもいいのではないでしょうか。

もちろん、真面目であること、誠実であることは人として素晴らしい美徳です。がしかし、そこに1滴の「ワル」エッセンスが加わると、女性としてはさらに魅力が増すと思います。この春、あなたも「チョイ悪女」になってみませんか? 
(佐藤栄子)

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