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「心を通わせるには、唇ではなく…」、ミステリアスな色気の実力派俳優、綾野剛インタビュー


選ばれた女性の胸にのみ寄生する、妖しくも美しい、シャニダールの花。映画『シャニダールの花』で、その花に含まれる新薬開発の成分を求めて研究に日々を捧げる大瀧を演じたのは、綾野剛だ。ミステリアスで独自の雰囲気が人気の綾野にこの作品の魅力を聞いた。

(c) anan / 小笠原真紀

■脚本を読んだときの印象、そして石井監督の現場は如何でしたか?

最初に台本を読み終わったとき、石井監督が醸し出しているものが映像になるのであれば、参加したいと思いました。前から石井監督の作品や、文章を読んで、魅力的な方だなと思っていて、台本の中身や、僕がどう思ったかが大切なのではなくて、石井監督が纏うものが映像化されること自体が重要というか。

石井監督から出てきたものを生身の人間が体現するのであれば、その作品に関わりたいと思いました。撮影現場では、監督が作った確固たる世界観があって、監督を見ていれば自然とその世界に入っていけるので、役を作るという感覚はなくて。

美術や衣装などのスタッフの仕事も素晴らしく、現場に入った瞬間、これはもう余計な役作りは必要ないと思いました。

■黒木さんと初めて共演をされる中で驚かされたり、刺激を受けた部分はありますか?

演じているときは役柄の大瀧でしかないので、綾野剛としての驚きはなかったです。自分の客観性は持たないし、演じるときは基本的に自分を捨ててしまうので。セリフというのはコミュニケーションで、その行間にある感情の方が圧倒的に大切になると思うんです。


ただ、大瀧として「え、なんで今、響子はこういう表情してるの? 」って相手の行動に驚くことはありました。意外と単純に反応しているというか、本当にシンプルにやっているつもりです。

■劇中で見せた響子との鼻と鼻を合わせるシーンが非常に印象的でした。

あのシーン、台本ではキスするはずのシーンだったんですが、大瀧は響子に対してそういう感情は抱けなかったんじゃないかと思って。人って自分のことを指す時、鼻を指しますよね。


心がそこにあるというか、鼻って一番綺麗な場所のような気がするんです。だから大瀧は響子と心を通わせるような気持ちで、唇じゃなくて鼻と鼻をあわせたかったんじゃないかなと。気持ちとしてはキスしているんです。

■今作は“花”がテーマの作品となっていますが、想い出の花はありますか?

中学と高校のとき、食虫植物のハエトリソウを育てていました。子供の頃、オジギソウが大好きで、いつも隣の家に生えていたオジギソウを撫でながら学校に通学していたんです。


僕は1月生まれなんですが、調べたらオジギソウが僕の誕生花で、花言葉は〈感じやすい心〉と〈失望〉。なるほどなと思いました(笑)。 僕は花そのものよりも、咲くまでの過程に魅力を感じます。シャニダールの花も女性から生み出されることに魅力がある。何にせよ、そこにたどり着くまでの過程がいいですよね。

■最後に、どのように今作を見て頂きたいですか?

この作品を観た後に、新しい理解を導き出してくれたらなと思います。何かを理解しながら観るのもとても豊かなことですし、最初から答えが出ているような作品も僕は好きですが、この作品はそうじゃないんですよね。


とても静かで、常に何かが揺らいでいる狂気のようなものを感じられる作品です。この作品は、“こういう話だな”と自分の枠に当てはめずに、スクリーンの中で起こっている事実を受け止めて、鑑賞後に自分が感じた答えを正解と思ってほしいです。

映画『シャニダールの花』は、7月20日(土)よりテアトル新宿ほか公開
・公式サイト

(c)2012「シャニダールの花」製作委員会

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